ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

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作者はイギリス在住で、夫はアイルランド人。この本でには、イギリスの中学校で生活する息子のことが書かれているが、学校の授業で習った「エンパシー」という言葉について、次のようなことが書かれている。

息子の脇で、配偶者が言った。

「ええっ。いきなり「エンパシーとは何か」と言われても俺はわからねえぞ。それ、めちゃディープっていうか、難しくね?で、お前、なんて答えを書いたんだ?」

「自分で誰かの靴を履いてみること、って書いた」

自分で誰かの靴を履いてみる、というのは英語の定型表現であり、他人の立場に立ってみるという意味だ。日本語にすれば、empathyは「共感」、「感情移入」、または「自己移入」と訳されている言葉だが、確かに、誰かの靴を履いてみるというのはすこぶる的確な表現だ。

(・・・)

息子は続けた。

「EU離脱や、テロリズムの問題や、世界中で起きているいろんな混乱を僕らが乗り越えていくには、自分とは違う立場の人々や、自分と違う意見を持つ人々の気持ちを想像してみることが大事なんだって。」

実は、息子が通う学校の校長先生からのお便りの中で、この本で書かれている、エンパシーという言葉について、上述した「誰かの靴を履いてみる」ことについて、こうコメントしていた。

「私たちは文字通りに他の人の靴をはくことはできませんが、その人の靴をはいたつもりで、相手の状況や気持ちに対して、イマジネーションを働かすことはできるのではないか。」

「私たちは一人ひとり違った人間です。想像力を働かして、自分と違う相手を理解するように努めましょう。そして、相手の良いところを探すようにしましょう。また、相手が何に困っているのか、何を必要としているのか気づくようにしましょう。」

この本に加え、この校長先生のコメントにも感銘を受け、買いたいと思っていた矢先、実家に帰省していたら実や母がこの本を読んでいて置いてあったのを気づき、借用して読んでみた次第だ。

中学生の息子は底辺中学に通うが、毎日が事件の連続。人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。時には貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだり。世界の縮図のような日常を、思春期真っ只中の息子と母ちゃんである著者は、ともに考え悩み乗り越えていくというストーリー。

多様性は楽じゃないけど「楽ばっかりしていると無知になる」というブレイディみかこがいうように、この中学生の感性が高まる少年時代に多様性を深く考え、現実を受け止めて体験し、学ぶことはとても大事なことなのだと思う。

大人の凝り固まった常識を、子どもたちは軽々と飛び越えていく姿に感動する。

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