ビジネス実用

1.エッセンシャル思考

エッセンシャル思考になるためには、3つの思い込みを克服しなければならない。
「やらなくては」
「どれも大事」
「全部できる」
この3つのセリフが、まるで伝説の妖女のように、人を非エッセンシャル思考の罠へと巧みに誘う。
エッセンシャル思考を身に着けるためにはこれら3つの嘘を捨て、3つの真実に置き換えなければならない。
「やると決める」
「大事なものはめったにない」
「何でもできるが全部はやらない」
この3つの真実が、私たちを混乱から救い出してくれる。本当に大事なことを見極め、最高のパフォーマンスを発揮することが可能になる。
この本の中で啓発を受けた内容は以下だ。
・賢く生きる者は、不要なものを排する。・・・林語堂
・「この仕事は、自分がいまやれることのなかでいちばん重要か?」
・世の中の大半のものはノイズである。本質的なものはほとんどない。
・エッセンシャル思考とは、まさに「より少なく、そしてより良く」を追求する生き方だ。
・「今、自分は正しいことに力を注いでいるか?」と絶えず問い続けるのが、エッセンシャル思考の生き方である。
・自分の時間とエネルギーをもっとも効果的に配分し、重要な仕事で最大の成果を上げるのが、エッセンシャル思考の狙いである。
・エッセンシャル思考の人は、適当に全部やろうとは考えない。トレードオフを直視し、何かをとるために何かを捨てる。そうしたタフな決断は、この先やってくる数々の決断の手間を省いてくれる。それがなければ、うんざりするほど同じことを問い続けるはめになるだろう。
・エッセンシャル思考の人は、流されない。たくさんの瑣末なものごとのなかから、少数の本質的なことだけを選びとる。不要なものはすべて捨て、歩みを妨げるものもすべて取り除いていく。要するにエッセンシャル思考とは、自分の力を最大限に成果につなげるためのシステマチックな方法である。やるべきことを正確に選び、それをスムーズにやりとげるための効果的なしくみなのだ。
・多くの優秀な人々が、自分にとって大事なことを見分けられなくなっている。理由の1つは、断ることを極端に嫌う世の中の風潮だ。
・「数百年後の人々がわれわれの時代を振り返るとき、歴史家の目にとまるのは技術やインターネットよりも、人びとの状態が大きく変わってしまった事実だろう。歴史上初めて、大多数の人々が選択肢を持つことになったのである。ただし社会はいまだ、そのような事態に対応できていない」・・・ピーター・ドラッカー

2.GRIT やり抜く力

仕事や勉強やスポーツでもしかり、いろいろな分野で活躍している人はやり抜く力に秀でている。
この本の筆者であるアンジェラ・ダックワークスさん自身、父親に「おまえは天才じゃないんだ」と言われ続けた少女であった。その少女が大人になって「マッカーサー賞」、別名「天才賞」を受賞したのだ。
しかも受賞の理由は、人生でなにを成し遂げられるかは、「生まれ持った才能」よりも、「情熱」と「粘り強さ」によって決まる可能性が高い、と突きつめたことなのだ。
「やり抜く力」とは「ひとつの重要な目標に向かって、長年の努力を続けること」で、「情熱」と「粘り強さ」をあわせ持っていることと説く。
要するに大きな成功を収めた人は断固たる強い決意があり、それがふたつの形となって表れている。
第一に、このような模範となる人たちは、並外れて粘り強く、努力家だった。第二に、自分が何を求めているかをよく理解していた。決意だけでなく、方向性も定まっていたということだ。
では具体的にどんな人のどんな行動が当てはまるのかについて、アンジェラ・ダックワークスは様々な事例を研究し、分析した結果を紹介してくれている。面白い、参考になる、といった内容が多く興味深い。
これまで人よりも何をするにも時間をかけなければ理解できず、苦労してきた自分にとって非常に参考になる内容だ。印象に残った文章の抜粋を以下に紹介する。
・つまり「やり抜く力」の強い生徒たちは、どんどん勝ち進んで行ったのだ。彼らはいったいどうやって結果を出したのか?人よりも何時間も多く練習し、たくさんのスペリング・コンテストに出て場数を踏んだのだ。
・「才能には生まれつきの差がある」などと決めつけずに、努力の重要性をもって考慮すべきなのでは?生徒たちも教える側も、もう少し粘り強くがんばれるように、努力を続ける方法を考えるのは、教師である私の責任なのではないだろうか。
・生徒たちのことを深く知るほど、誰もが複雑な日常生活のなかで、さまざまな複雑な事柄を理解していることがわかった。はっきり言って、それにくらべれば方程式のxの値を求めるほうがよっぽど簡単ではないだろうか。
・「私がふつうの人より優れている点は、普通なら見逃してしまうようなことに気づき、それを注意深く観察することだろう。観察にかけても、事実の集積にかけても、私は非常に熱心にやってきた。さらに、それにも増して重要なことは、自然科学に対して尽きぬ情熱を持ち続けていることだ  ダーウィン自伝より」
・「難問にぶつかると、ふつうの人は『またあとで考えよう』などと言って、たいていはそのまま忘れてしまう。ところがダーウィンは、そういういい加減さを自分に許さないようなところがあった。彼は突きとめたいと思っている課題は、すべて頭の片隅にとめておき、少しでも関連のありそうなデータが表れたら、いつでもすぐにその問題と突き合わせることができた ダーウィン自伝より」
・「最高のパフォーマンスは、無数の小さなスキルや行動を積み重ねた結果として生み出される。それは本人が意識的に習得する数々のスキルや、試行錯誤する中で見出した方法などが、周到な訓練によって叩き込まれ、習慣となり、やがて一体化したものなのだ。やっていることの一つ一つには、特別なことや超人的なところはなにもないが、それらを継続的に正しく積み重ねていくことで生じる相乗効果によって卓越したレベルに到達できる ダニエル・F・チャンブリス」
・「一つのことをひたすら考え続け、ありとあらゆるものを活用し、自分の内面に観察の目を向けるだけでなく、ほかの人々の精神生活も熱心に観察し、いたるところに見習うべき人物を見つけては奮起し、あくなき探求心をもってありとあらゆる手段を利用する ニーチェ」
・「やり抜く力」のある人にとっては、1日にどれだけ努力するかより、くる日もくる日も、目が覚めたとたんに「きょうもがんばろう」と気合を入れ、トレッドミルに乗り続けることが重要なのだ。
・偉業を成し遂げた人たちに、「成功するために必要なものは何ですか?」とたずねると、「夢中でやること」や「熱中すること」と答える人はほとんどいない。多くの人が口にするのは「熱心さ」ではなく、「ひとつのことにじっくりと長いあいだ取り組む姿勢」なのだ。
・「チームが首尾よくなし遂げるべきことは山ほどあるが、その屋台骨となるビジョンを確立することこそ、もっとも重要である」
・「やり抜く力」というのは、ひとつの重要な目標に向かって、長年の努力を続けることだ。
・ほとんどの人は人生経験を重ねるにつれ、より誠実になり、自信や思いやりが増し、穏やかになることがわかっている。

3.見えるか4.0

IOT、AIが話題となる今日、日本が得意としていたものづくり、製造業がどうIT技術を活用していくべきなのか。経営的な側面と技術的な側面を織り交ぜ、見える化を1.0から4.0までの4段階に分け整理している。

段階を踏んで目的を明確にしつつステップを踏みながら見える化する方法をわかりやすく解説している。

1.0は儲けの構造、2.0はプロセスの見えるか、3.0は稼ぐポイントの見えるか、4.0はリアルタイムの見える化である。

AIからいきなり4.0をイメージしてしまうが一足飛びはできない。まず当たり前だができていない、儲けの構造を把握することが重要だとする。原価の見える化の話は当たり前だがきっちりできていない会社が多い。

そしてプロセスの見える化は製品のバリューチェーン(開発~設計~製造~販売~使用~アフターサービス)に対してどこで稼ぐべきなのか、製品ライフサイクルが短命化し、技術が高度化し、複雑になっている中、メリハリをつける重要性を説く。

そしてこれからはデータをもとに顧客とつながり、そこから新たな付加価値を生み出していく、サービスで儲けるビジネスモデルへの変革の必要性へとつながる。

そして最後はリアルタイムの見える化、そして制御となる。

当たり前のことだができていないことを地味にまじめにやり抜き、そして今の時代に合ったやり方で効率よく見えるかし、最適経営へ繋げる。そんなイメージを持てる内容。繰り返し読みたい良本である。

4.なぜ社員はやる気をなくしているのか

昔、今でも公私共々お世話になっている先輩上司に強く勧められ読んだ本である。

そして時に読み返すこともある。そしてこんな考え方の方もいるのか、と助けられた気持ちになる。

現代でもそうだが、日本社会は不正に対する抑止力、学校のいじめや家庭内暴力を抑止することに対する未然防止力当、身体に例えると免疫力が低下している。

表に出てくる現象だけを追いかけても、問題は解決しない。私たちがこんなもんだ、といつの間にか思ってしまっている当たり前の考え方や価値観の中に、社会の免疫力を低下させる何か本質的な問題が隠されている。

例えばいじめの問題であれば、そもそも「いじめの存在そのものを認めたくない」という、現実と正面から向き合おうとしない姿勢に教育関係者が依存する精神論的な価値観が如実に現れている。

企業の不祥事も同様である。問題はないことにしておきたいという価値観は同様である。

人は何によって動くのか。この本のテーマは組織の中にあって、その組織を進化させたり退化させたりしていく「価値観の役割」、そして「人の内発的な動機はどのようにすれば引き出すことができるか」である。

内容よりも形式を重視する傾向の強い人たちは、人も道具だてのひとつだと見ているから、役職だとか肩書に意味は見出しても、「内発的な動機」が果たす役割などには、そもそも興味すら持たない。命令さえすれば動く「道具」が内発的動機など持つ必要性があるわけでないからだ。

一方で社内のコミュニケーションもメール文化の浸透によって、非データ系の情報の流通は激減し、データ系の情報ばかりが組織内で幅をきかせている。本来、非データ系の情報こそが知恵の源泉となりうるのにも関わらずだ。

そしてマネジメントスタイルが一方通行で、なおかつ、人の話に耳を傾けようとしない上司の弊害は、今日では、組織に壊滅的な被害をもたすようになってきている。

こうした中、答えを一緒に作るマネジメントとして「部下の主体性を強めて潜在的な力を引き出すリーダーシップ」が「スポンサーシップ」、それによってうみだせれていく「セーフティネット」が重要だ。セーフティーネットとは個人の一歩踏み出す勇気を下支えする安心感を生み出す「経営や上司への信頼感」「同僚への信頼感」である。

この本、読んでみて所属する組織に合致していると否めないと感じる。著者である柴田さんはまさにプロセスデザインというやり方で企業変革を実践の中で体験しており、非常にわかりやすく、腹に落ちる内容。

ビジネスマン必読の本である。

5.仕事脳 成功する人の脳の使い方

代議士公設第一秘書、医師、NHKアナウンサーとまったく異なる3つの職業を経験された吉田たかよしさんの著作。仕事ができる人、できない人の脳の使い方は明らかに違う。仕事の進め方、情報整理のやり方、説明や質問のしかたなどが共通している。

仕事とはどんな業種でも本質的には情報処理である。

①仕事の中で見聞きしたり、自ら収集した情報っをしっかりと脳に取り込む。
②脳に取り込んだ情報を的確に分析して、何らかの結論を引き出す。
③それを、自分の脳から上司や顧客の脳に伝え、相手の納得を得る。

ではどのように脳を使えば仕事ができるようになるのか。それを医者の経験もある吉田さんが方策を与えてくれる。

例えば「科学的一夜漬け仕事術」。

これは短期間であれば敢えてストレスをかけて自分にプレッシャーを与えた方が集中できるといった考え方。

そして「コミュニケーション鍛錬法」。

これは会話のラリーによって脳を鍛える方法、相手の話に対して、できるだけ小刻みに打ち返すように心がけるべきだと説く。

そのためには一方的に相手に話をさせない。理解できない時はその場で質問する。相手の話の内容に即応したコメントや質問をぶつける。自分の話す内容を考えるために相手の話を聞き流すということは、絶対にしないようにする。その他、なぞかけもよいとも勧めている。

さらに「感情を利用する脳活性法」、「科学的記憶法」など脳を鍛える方法を教えてくれる。

個人的に大切だと感じた点は、ビジネスパーソンとして

①自分が扱う商人についての情報
②顧客についての情報
③ライバルについての情報

すなわち「情報武装の重点三分野」については頭にできるかぎり入れておくべきという点。

努力している人とそうでない人との間には、確実に情報の較差が生じる。ディテールまで、しっかりとした知識を持っている人は、一歩踏み込んだ具体的な発言ができる。

仕事にかかわる情報については普段からしっかり記憶にとどめておく必要がある。そして寝る前の30分間だけ情報武装の時間に充てることが最大のポイントだという。

それは眠る直前に暗記すると記憶が定着しやすいこと自体、心理学者によって研究され明らかになっているからである。

また想起力の鍛え方についても非常に参考になる。

具体的な実践方法がたくさん示されていて、普段の業務に活かしたい。

6.失敗のメカニズム

日常の小さなミスも、交通事故や原発事故などの大きな事故の原因となるエラーも本質的には同じ失敗である。

日本では毎年、不慮の事故で何人もの命が失われている。これらの自己の最も重要な要因は人間がおかす失敗、すなわちヒューマンエラーである。

うっかりミス、判断ミス、錯覚、憶測、安全規則違反などが原因で多くの犠牲者がでた事故の例は枚挙にいとまがない。

大事故を分析すると、そこには必ずといってよいくらいヒューマンエラーが見つかる。

人間は特に考えたり意識的に思い出そうと努力しなくても身体が自然に次々と動くほど熟練した一連の手順のことを「行為スキーマ」というようだが、熟練とはスキーマを形成し、それを強固にする過程であるが、エラーが生じないよう、スキーマ化され、一部の手順が脱落しにくくすることが重要である。

しかし事故とヒューマンエラーの関係を調べるとそう簡単ではないことがわかる。

人間工学の観点かっらは、人間と機械の最適な役割分担でどんなシステムにも適用できる一般原理や公式が見つかるとは思えない。

「作る側」と「使う側」が開発段階から1つのテーブルにつき、最大限のイマジネーションを発揮して話し合いながら、ケース・バイ・ケースで最善と思われる案を採用していくほかない。

本書では事故とヒューマンエラーの関係、エラーの分類と対策から人間工学的な観点での事故傾性の分析からエラーを防止するデザイン、考えずに行動する人間特性の分析、安全文化に関する考察など幅広くかつユニークな視点で失敗とは何かを考えさせてくれる。

超高齢化社会を迎える現代、機械設計技術者に限らず、すべての人が読むに値する良書である。

7.論点思考

論点思考は問題解決の最上流にある「解くべき問題の設定」プロセスのことを指し、仮説思考は「仮の答え」をもとに思考するアプローチである。

この2つは対立する概念でもないし、上下関係にある概念でもないし、どちらが先でどちらが後というように順番に使われる概念でもない。

仕事の問題解決のプロセスを①問題発見、②問題解決、③実行の3つのプロセスに分けたとき、論点思考が最も力を発揮するのが問題発見のプロセスである。

問題発見のプロセスは論点思考そのもので、論点設定と論点確定・整理のプロセスに分けることが可能。その前半の論点設定に力を発揮するのが仮説思考である。

問題解決のプロセスの中にも論点は現れるということもある。

よって問題解決のプロセスは行きつ戻りつするのが現実であり、つねに解くべき問題(大論点)はなにか、あるいはそれを解くためにどのような中(小)論点に答えを出すのがふさわしいかを自問しながら、行きつ戻りつするのが現実の姿である。

仮説思考は主に問題解決に力点をおいており、論点思考は問題発見に力点を置いている。

企業の限りある経営資源からいま解決しておかなければならないこと、あるいは、これだけは解決しておかなければならないことに絞って手を打つ必要がある。

本書では論点思考を元に論点候補を洗い出す方法論、具体的な問題解決の流れからケースの紹介、論点思考力を高める方法等が紹介されている。

論理的思考力を鍛える上で教科書的な良書である。

印象に残った箇所を以下に示しておく。

・「経営における最も重大なあやまちは、間違った答えを出すことではなく、間違った問いに答えることだ」ピータードラッガー

・分析の技術的な完全さを求めるのではなく、意見の対立や判断に関わる問題を明確にすることが重要である。正しい答えではなく、正しい問いが必要である。・・・創造する経営者より

・問題を解き始める前に、問題のように見えるものから、真の問題を発見すること、解くべき問題を決めることだ。

・1つには日常の些細に思える仕事の中にも、必ず問題解決のヘソとなる論点は存在する。したがって、この論点を意識して仕事を進めるか進めないかで、仕事の結果に大きな違いが表れる。

・解いて効果のあがる問題がよい問題なのだ。

・論点思考のステップは①論点候補を拾い出す、②論点を絞り込む、③論点を確定する、④全体像で確認する。

・論点は動く。それは①論点は人によって異なる、②環境とともに変化する、③論点は進化する。

・「解決できるか」にこだわる。①解決できるか、できないか。②解決できるとして実行可能(容易)か。③解決したらどれだけの効果があるか。

・「戦略とは捨てることなり」という言葉がある。ビジネスにとって大切なのは、やらないこと(事業・商品・仕事の仕方・取引先・研究)などを決めることで、これが実は難しい。

・とにかく日頃からこれが問題だ、あるいはこれが解決策だというもの以外に最低一つは別の問題や答えを考えてみる癖をつけることである。

・問題意識をもっていると、さまざまな世の中の現象に引っかかるため、それを引き出しに蓄えることができる。問題意識は意識レベルだけでなく無意識レベルにも作用する。そうするとまったく関係ないジャンルの雑誌を読んでいても、必要な情報は自動的にアンテナに引っかかる。

9.仕事は99%気配り

著者である川田さんがこれまで出会って感動した気配りの実例や、その実践方法について書いた内容。気配りが苦手な自分がふと書店で目にして購入した。

川田さんが出会って学んだことは、川田さんだからこそ感じることができるのではないか、と思ってしまうのだが、川田さんの何より「人の話を聞くこと」「人と話をすること」「人を観察すること」が得意、そして何より人が好きだ、という点に納得する。

川田さんの実践している中で、もっとも記憶に残っているのが、「私はホテルに泊まると、必ず洗面台を自分の使ったタオルできれいに拭いてから帰ります。」という点。

掃除係の人と面識があるわけでもないが、「相手の気持ち」を考えてただそうしているのだという。

きっかけはマナーが厳しくて有名なゴルフ場のトイレで、手を洗って自分の手を拭いた後、さっと洗面台を拭いている方を見かけたことだという。後の人が気持ちよく使えるようにという、ちょっとした気配りだとのこと。

川田さんの中で訪れた変化の1つという。

この本から学ぶことは多い。気になった文章を列記しておく。

・「きょう1日、私はひとつだけ良いことをします。人に見られたら、それはカウントしません」

・きょう1日、あなたは誰と何回「あいさつ」しましたか?

・相手をよく観察して、自分にできることは何かを考え、その人のために役に立てることが、ビジネスにおいての「気配り」になるのではないでしょうか。

・普通以上の結果を出そうと思ったら、不自然なこと、つまり普通じゃないことをしなくちゃいけません。

・たとえどんな失敗をしても、それを乗り越えれば、あの時の失敗は必要なことだと思える日が、いつか必ず来る。

・気配りというのは、実は「私はあなたのことが好きですよ」「あなたを大切に思っていますよ」というメッセージなのかもしれません。

・「ちょっとした気配り」は、相手のためにやることであるのと同時に、自分の存在 意義を確かめられることでもあると思います。

・気配りというのは、連鎖していくのです。

・「おたがいさま」という気持ちでそれを受け入れることなんですよ。人は必ず人に枠をかけるものなんです。みなそうやって生きていくんですよ。

10.FACT FULNESS

本書は事実に基づく世界の見方を教えてくれる。

思い込みではなく、事実をもとに行動すれば人類はもっと前に進める。そんな希望を与えてくれる本である。

自分が生まれてから学校で学んだ時代からどんどん時は過ぎ、グローバルで世の中はよくなっている。

知識は確かにアップデートされていない。このアップデートしなくては、という著者の思いがつまった1冊である。

ファクトフルネスという習慣を毎日の生活に取り入れ、訓練を積めば、ドラマチックすぎる世界の見方をしなくなり、事実に基づく世界の見方ができるようになる。

ドラマチックな10の本能、「分断本能」、「ネガティブ本能」、「直線本能」、「恐怖本能」、「過大視本能」、「パターン化本能」、「宿命本能」、「単純化本能」、「犯人捜し本能」、「焦り本能」に分類し、これらの本能を抑えることによって世界の本質をつかむ、ということだ。

本当の世界の姿を知ることは生きていく上で役に立つし意義がある。

事実についての質問をしてみれば、知識不足が果てしなく表に出るはずである。

こうした世界の事実を把握していくためには世界中の様々な人と一緒に過ごしたり話し合ったりする経験が必要だろう。

だれしもがそのような経験ができない分、この本を読むことで世界の見方とデータに基づく正しい知識を得ることができる。

世界の人口の予測、また先進国と途上国を分ける意味のなさ、なにより過去から間違いなくグローバルを見渡して豊かになっているという事実。

祖先たちが築いてきた知恵と努力から今がある。

心配すべきグローバルなリスク(感染症の世界的な流行、金融危機、世界大戦、地球温暖化、極度の貧困)が起きないよう、普段の生き方から意識し、個々人ができること、やれることをやることが大拙だと思う。

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