低コストな水素調達・供給の実現

技術者・技術士
アーカイブ

2017 年 12 月、産学官からなる協議会により「水素基本戦略」が策定された。

水素基本戦略の実行に向けた課題に水素サプライチェーンがある。以下、水素・燃料電池戦略協議会が示すロードマップの一部を示す。

キーワードや重要な個所は色をつけた。

水素は、再生可能エネルギーを含め多種多様なエネルギー源から製造し、貯蔵・運搬することができ、国内外を問わずあらゆる場所からの供給が可能である。

このため、海外に偏在する化石燃料に大きく依存した我が国の一次エネルギー供給構造を多様化させるポテンシャルを有する。さらに、製造段階で二酸化炭素回収・貯留(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)技術や再生可能エネルギーを活用することで、トータルでも脱炭素化したエネルギー源とすることが可能である上、利用段階では水素から高効率に電気・熱を取り出す燃料電池技術と組み合わせることで、運輸、電力のみならず、産業利用や熱利用、様々な領域での低炭素化が可能となる

こうした水素を日常の生活や産業活動で大量に利活用する社会を実現していくため、水素を再生可能エネ ルギーと並ぶ新たなエネルギーの選択肢とすべく、環境価値を含め水素の調達・供給コストを従来エネルギーと遜色のない水準まで低減させていくことが不可欠である。

水素を日常の生活や産業活動で利活用する社会、すなわち“水素社会”の実現には、水素の調達・供給コストの低減が不可欠である。

水素基本戦略では以下をかかげている。

・2030 年頃に(中略)30 円/Nm3 程度の水素コストの実現を目指す。

・2030 年以降は(中略)更なるコスト低減を図り、将来的に 20 円/Nm3 程度まで 水素コストを低減し、環境価値も含め、既存のエネルギーコストと同等のコスト競争力 を実現することを目指す。

日本が輸入する LNG(液化天然ガス)は、東日本大震災以降、7~ 15 ドル/MMBtu 程度の水準で推移しており、これを熱量ベースで水素に換算すると 9~20 円 /Nm3 程度の水準となる。

また、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency) の World Energy Outlook(2018)では、日本における 2040 年の LNG 価格は 10 ドル/MMBtu 程 度(CIF 価格)と予測されている。これらを踏まえ、従来エネルギーと同等のコスト競争力 を実現するために目指すべきコスト水準としては、LNG 価格 10 ドル/MMBtu(CIF 価格)を熱量等価で水素価格に換算した 13.3 円/Nm3 に環境価値を考慮した水準が目安となる。

また、 環境価値については、様々な試算があるが、2040 年の東アジアの CO2 価格は World Energy Outlook(2018)の新政策シナリオを踏まえると 44 ドル/t-CO2 となる。 こうしたことから、水素エネルギーの本格的な社会実装に向けては、20 円/Nm3 という将 来の目標を目指すとともに、環境価値を含めて既存のエネルギーと遜色ない水準まで一層深掘りしていく必要がある。

国内における水素の環境価値については、パリ協定に基づく削減目標の議論や、低炭素水 素の議論が先行している欧州の事例など、国際的な動向にも留意しつつ、エネルギー供給構造高度化法省エネ法地球温暖化対策推進法等の法律の枠組や、これらに基づく非化石価値取引市場温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度J-クレジット制度等の個別の制度との関係整理を中心に、引き続き議論を行っていくこととする 。

また、安価な水素の調達に向けては、国内の石油精製プラントや化学プラント等で発生する副生水素等を活用した水素供給能力にも目を向け、その供給量や水素供給コスト等のポテンシャル について把握すべく、調査を実施していく必要がある。

コメント

タイトルとURLをコピーしました