エコスラグというものがあるようだ。
スラグとは、金属等を溶融し精錬するときに出る石灰やマグネシウムなどが主成分の非金属製のかすのことで、煉瓦やセメントを作る材料となる。
エコスラグには、一般廃棄物あるいはその焼却灰を溶融後に冷却して生成されたスラグと、下水汚泥あるいはその焼却灰を溶融後に冷却して生成されたスラグとがあり、これらを有効利用することによって埋立処分量を減らすことができる。
溶融化技術の開発は古く、1979年に岩手県釜石市で行われたのが始まりとのことで、本格的に全国に広がったのは2000年以降とのこと。
主な用途は道路用砂、砂利(骨材)、コンクリート用骨材及び埋め戻し・盛土材である。
特にコンクリート用骨材としてのエコスラグは、良質天然骨材の枯渇の影響から利用率が高まっている。2006年にプレキャスト用コンクリート用及び道路用の骨材としてJIS規格が制定され、利用率は飛躍的に増加したが、生コンには利用されていないようだ。
エコスラグの発生量の増加を考慮すると、生コンへの利用が望まれている。他産業のスラグである高炉、電気炉、銅及びフェロニッケルスラグについては、すでに生コンで使える状態にあるとのこと。
エコスラグのコンクリート骨材としての評価は、プレキャストコンクリートで十分、実績があるため、対象を生コンにしても大半の試験は確認されているとのことだが、運搬、ポンパビリティ(コンクリートの圧送を可能にするためのコンクリート自体の品質や性能のこと)、施工性状等、現場施工特有の試験についてはデータの蓄積が必要であるとしている。
一方、海洋環境は年々悪化しており、中でも磯焼けは深刻な問題である。「磯やけ」とは岩石や岩盤から海藻が消滅していくもので、これにより海中林(海藻類)に棲む魚介類が生息や産卵場所をなくし、減少していくのである。
海藻類の生長に不可欠な物質は、ケイ酸、窒素、リン、カリウム及び鉄イオン。
カリウムは海中に大量に含まれており、不足することはない。また鉄イオンは光合成色素であるクロロフィルやβカロチンの濃度を高め、硝酸塩を採取しやすくする作用があることから、海藻の生長、増殖には不可欠なミネラル。
エコスラグにはシリカが多く含まれており、また鉄含有スラグの場合、鉄イオンの供給源にもなり得る。
エコスラグが廃棄物の減容や建設資材の代替にとどまらず、環境対策資材として積極的に利用されることが望まれる。
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