元服(げんぷく)

初冠,加冠,烏帽子着ともいう。男子が成人し,髪形,服装を改め,初めて冠をつける儀式。元服の時期は一定しなかったが,11歳から 17歳の間に行われた。儀式は時代,身分などによって異なり,平安時代には髪を結い,冠をつけ,中世武家の間では冠の代りに烏帽子を用いた。加冠の人を烏帽子親,元服する人を烏帽子子と称し,幼名が改められ実名 (成人後の名前) が定められた。江戸時代になると,一般武家では烏帽子を用いず,月代 (さかやき) を剃って前髪を落すようになった。

〈例文〉
父親は、もうその頃50近くで、「せめて、七十まで生きていたいものだな。下の坊主が元服するまで」そう言っていた。・・・連笑(色川武大)

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