とにかくやり始める

締め切りも迫っていて、早く仕事を始めなければならないのに、なかなか気がのらない・・・よくある話である。

「やろう、やろう」と思っているうちに時間が過ぎ、間際になって「何をしていたんだ」「もっと早くもっとやっておけば・・・」と後悔することになる。

誰でも経験したことがあるのではないか。

なぜ「やろう、やろう」と思っているのに、なかなか始められないのか。逆説的だが、それは「やろう、やろう」と思っているからだ。

一度、「やろう、やろう」と考え始めると、そのループから逃れることはなかなか難しい。

まず知っておくべきは「やる気がでないのは当たり前だ」ということだ。

人間の脳の構造として、やる前からやる気が出るようにはなっていないのだ。「やり始めることで『やる気』が出る」のであって、やり始める前にやる気がでないのは当然なのだ。

また「やり始める」前には、とやかく考える時間を作らないことが大切だ。「次は何をしようかな」などと考えているうちに興味は他に移ってしまい、結局仕事には手を付けられなくなってしまう。頭に考える暇を与えず、とにかく「やり始める」ための仕組みを作ってしまうことだ。

そのためには習慣、すなわち条件づけをうまく利用するということ、そして「準備をしない」ということだ。

具体的には次のようなアプローチがある。

①習慣の力を利用する。
頭に考えるヒマを与えないということは、ある条件が成立したら、すぐに始める習慣を身につけるということ。「やろう、やろう」と思う前に、条件が成立したら自動的に始めるのだ。

たとえば、朝起きるとすぐに、机に向かって仕事を始めるというのも1つの手だ。やるか、やらないかは考えない。仕事を始める前の準備もしない。とにかく、起きたらそのまま机に向かう。そうすると、頭のエンジンがかかってきて、「よしやるぞ」という気になってくる。

②場所と時間を紐づけする。
習慣の力を利用するということは、ある条件による反射行動を決めるということ。これは場所に対しても使える。たとえば、電車だ。電車の中では、漫然と雑誌を読んだり、携帯電話やスマートフォンをぼんやり眺めているのではなく、生産的な仕事の場所にするのだ。

もの書きを仕事にしている人の中では、「電車は原稿を書く場所」と決めている人も意外と多い。

ある程度の騒がしさと揺れが、いい心地で原稿を進めてくれるのだ。このように場所と仕事を紐づけてしまえば、やる気がなかたとしても、その場所に行きさえすれば、自動的にその仕事を始めることになる。

また、電車以外でも、行きつけのカフェや、会社なら会議室など、「この場所では、これをする」と決めておくことで、「何をしようか」と考えることなく、仕事を始めることができる。

③時間と仕事を紐づけする。
場所と時間を紐づけするのと同じ原理で、時間帯と仕事を紐づけすることもできる。午前中は仕事、午後はこの仕事というように、時間帯によってやる仕事の種類を決めておくのだ。

とにかく「頭に言い訳をさせない」ことが大事だ。

 

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