膜処理におけるマンガン除去方法

マンガンは、鉄とともに天然水中に多 く存在し、特に地下水中に溶解していることが多 く、異臭味や着色水の問題を引き起こすため、現 水中に多く含まれる場合、除去が必要である。

通常、 総マンガンで表されれるが、処理する場合は、溶解性か不溶解性かによって処理方法が異なる。

不溶解性の場合は、ろ過で除去可能ですが、溶解性の場合は、不溶解性にしてから除去する必要が あります。したがって、処理方法を決めるにあた っては、総マンガンだけではなく、溶解性マンガ ンの値を知る必要がある。

1.浄水処理における一般的な処理方法
浄水処理工程における一般的な処理方法は、塩 素等の酸化剤を添加してマンガンを不溶解性に変 えて砂ろ過で除去する。遊離塩素がある状態で 水中のマンガンは、マンガン砂の接触酸化作用に より連続的に除去される。また、生物の酸化作用により除去する生物処理があり、浸漬ろ床方式、生物接触ろ過方式、回転円板方式などがある。

2.膜処理における除去方法
膜ろ過では、マンガン砂のような接触酸化作用が無いため、膜ろ過の前後で除去する。マンガン砂による接触酸化方式は前処理として、マンガン砂が充填された層の下 から上に向って高速で通水する上向流流動床がる。ここでは、塩素などの酸化剤の存在下で溶解性マンガンの接触酸化のみが行われ、不溶解性になったマンガンを後段の膜ろ過で除去する。後処理としては、マンガン砂が充填された層の上から下へ通水するマンガン 砂ろ過があります。膜ろ過の後のため高速でろ過が可能である。なお、マンガンによる膜のファウリングには、 シュウ酸、硫酸などの酸による薬品洗浄が必要になる。

3.排水処理における留意点
固液分離されたマンガンは、排水処理へ送られる。貯留、重力濃縮される過程でマンガンを含む汚泥が長時間滞留すると嫌気状態となり、不溶解性のマンガンが還元されて溶解性のマンガンになることがある。

上澄水を返送しているクローズドシステムの場 合は、マンガンが循環することになる。これを避けるため、再溶出したマンガン含有水をアル カリ側にして不溶解性の水酸化マンガンにするこ とで固液分離し、沈澱物を再び排水処理に送るとともに上澄水を返送する方法などがある。

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