プロレタリア文学

おもに日本文学においてプロレタリアとしての階級的、政治的立場に立ち、社会主義ないし共産主義思想に基づいて現実を描く文学、およびその運動をいう。

労働運動の高揚に伴い1921年小牧近江らによって創刊された雑誌『種蒔く人』をもって組織的な出発とされるが、以後革命運動との関連においてマルクス主義的傾向を強く打出すようになり、『文芸戦線』や「プロレタリア文芸連盟」の文学運動として発展していった。

しかし昭和初期にその運動理論をめぐる対立から「ナップ」と「労農芸術家連盟」に分裂し、前者はなかば革命運動を代行する形をとり、ために満州事変下における革命運動の弾圧強化により打撃を受け、戦争の長期化とともに壊滅した。

代表的作家に葉山嘉樹黒島伝治小林多喜二徳永直平林たい子らがいる。

<例文>
硯友社を駆逐した自然主義は貧乏と女についてはめんめんと書いても政治には関与しなかった。したのはプロレタリア文学からであるが、これもつけ焼刃だったからじきに転向した。・・・完本 文語文(山本夏彦 著)

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