機械や構造物は形にそれぞれ意味があって、形が損なわれることはそのものの存在意味の喪失につながる。
大きな力やエネルギーを生み出したり支えたりしているものが予想外の時と場所でその形を損なうと、破壊の連鎖を引き起こして甚大な被害を伴う事故になる場合がある。
ものが破壊するメカニズムを知り、破壊の過程を事故ではなく想定の範囲内に収めてゆくことも人類の知恵なのである。
破壊は機械や構造物を構成する部材が力を受けて分離し、力を伝達できなくなることである。
最終的に2つ以上に分離することが破壊であり、破壊過程では通常小さなき裂が進展して分離する。
小さな亀裂の存在や発生、そしてき裂がどのような条件で進展しどのような条件が進展に抵抗するのか、そしてどのような過程を経て破壊に至るのか、破壊現象を考える場合のポイントがここにある。
破壊を考えるときには、原子レベルから、顕微鏡のレベル、虫眼鏡のレベル、肉眼で観察できる材料のレベル、構造全体、さらに環境も含む全体・・・と視点を変えて考えて、それらを統合していく必要がある。
破壊を考えていく出発点は破壊事故である。悲惨な甚大な事故を経て、その原因を調査研究することを通して、同じような事故を防ぐための知見が生まれてきた。
破壊力学は材料力学をベースとしながらもそれでカバーできない分野に考え出された工学の一分野であり、欠陥もしくはき裂を有する部材・材料について、破壊現象を定量的に取り扱う工学的手法の一つである。
靭性
応力拡大係数
非破壊検査