ワイブル分布は強度のばらつきの話が出てくるときに必ず出てくる言葉である。
ワイブル分布(ワイブルぶんぷ、英: Weibull distribution)は、物体の強度を統計的に記述するためにW.ワイブル(Waloddi Weibull)によって提案された確率分布。時間に対する劣化現象や寿命を統計的に記述するためにも利用される。
ワイブル分布は、物体の体積と強度との関係を定量的に記述するための確率分布として1939年に提案された。一般には、鎖を引っ張る場合において最も弱い輪が破壊することにより鎖全体が破壊したとするモデル(最弱リンクモデル)として理解されている。論文が出版されたのは統計学の歴史から見れば比較的新しく1939年である。ポアソン分布をポアソン分布を発表したのが1838年なので,100年の月日が経っている。
材料の破壊強度に関わる統計データは正規分布に基づく解析にフィットしないことは当初から認識されていたようだ。材料の局所的に定義される強度がたとえ正規分布に従っていても,破壊は材料の最も弱い箇所に起因して一気に進むため,マクロ的な破壊現象に正規分布やその派生分布を適用しようとするとうまくいかないのだ。
ワイブルは,鎖の破断のメカニズムを念頭においてワイブル分布を考案した。1本の鎖の強度は構成される一つ一つのリングの強度の平均値や分散などで決まるわけではなくて,最も弱いリングの特性で決まるはずだと彼は考えた。
(1)ステップ1
[2] リングがn個つながってできている1本の鎖を考え,一つのリングが加重xで切れる確率P(X≦x)を意味する累積分布関数を ,
G(x) = 1 – exp(-φ(x))
とおいてみる。φ(x)は任意の関数であるが,φ(x)=λx とおけば,G(x)は指数分布[#]と同形であり,xをジロー君のコップの使用時間と読み替えると,G(x)はジロー君がx時間後にコップを破損させている確率と考える[#]こともできる。つまり,コップの使用時間と鎖にかかる加重の大きさととを対応させて考えれば,上のような累積分布を仮定することに違和感は感じないだろう。
ワイブル分布は次の式で表される確率分布を持つ
ここで、mはワイブル係数(形状パラメータ)、ηは尺度パラメータと呼ばれる。
平均値μは次式で表される。
Γはガンマ関数を表す。
ワイブル係数mの値によって分布の性質が変化する。m=1は指数分布、m=2はレイリー分布になる。