ラーソンミラーパラメーター法

<概要>クリープの破断強度評価において、評価対象となる実機の寿命は数十万時間などと大変長く、その条件の実験データを十分に蓄えることは現実的ではない。そこで一般的には実機使用条件より温度を上げるか、応力を上げて加速実験を行う。この場合、得られたデータから実機使用条件の強度を外挿することが必要となる。ラーソンミラーパラメータ法は、クリープ破断強度を温度と時間をパラメータとして表す方法の1つで、この方法を余寿命評価に適用したものである。実際に運転されてきた部材から試験片を切り出し、クリープ破断試験を行って余寿命を推定する。

<参考>外挿法は時間-温度パラメータ法(TTP:Time-Temperature Parameter法)といわれるもので、破断時間および温度の関数であるパラメータと応力の関係を使う手法である。この手法により温度もしくは応力条件で加速した短時間強度から実機使用条件に相当する長時間強度を推定することが可能となる。

<長所>部材に作用した温度、応力の過去の履歴が明らかでなくても評価が可能である。<短所>試験片を採取できる部材にしか適用できないこと、試験に時間がかかること。<留意点>診断の精度を上げるためには、まず、機器のクリティカルな部位から試験片を採取することが重要である。また、クリープ破断試験は余寿命より短時間で破断する加速試験となるが、試験温度、応力が適切でないと組織変化が起こりクリープ強度に影響を与えるため、できるだけ使用温度、応力に近い条件で試験することが望ましい。

<詳細解説>
下図はラーソンミラーパラメータ法による余寿命評価の模式図で、新材を温度T1、応力σ1においてt1時間使用した場合のクリープ破断強度の低下を示している。

①、②から余寿命tと使用等価温度T1を計算によって求めることができ、その結果、余寿命t-t1も得られる。
高温短時間のクリープ破断データから、より低温長時間のクリープ破断寿命を予測することができる.
なお、使用されている材料そのもの新材のクリープ破断強度のデータが得られていない場合が多いため、ある程度ばらつき幅を有する文献値が用いられるのでLoはあるばらつき幅を持ったものとなる。

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