部下は己の分身

私が考える部下とは自分の組織を共に支える「同志」である。
また、部下は会社から与えられたものだが、その能力や経験の未熟さを君が指導しなければならない「生徒」でもある。

与えられた戦力を最大限引き上げるのが上司の仕事だ。教師が生徒を一人ひとりのレベルに合わせて教え、導き、社会へと送り出すように、上司は部下を一人前のビジネスマンに育て上げなければならない。

好き嫌いや出来不出来でふるいにかけたりせず、仕事の遅い人、要領の悪い人こそ粘り強く時間を割いて、全員を成長させなければならない。

そうすることによって、チーム全体の力がアップするのである。「生徒」であった部下は、やがて「同志」になるだろう。

部下とは今後組織の戦力になっていく予備軍、「金の卵」である。
組織を支え、会社を発展させていくという未来を期待されて入ってきた人材だ。目の前にいる部下は磨けば光る逸材かもしれない。そういう部下を一人でも多く戦力化することが重要な仕事である。

部下とは、自分が成長するための「教師」でもある。

人を育てようとすれば、おのずと自分の仕事の内容や処理方法を振り返り、見つめ直す必要に迫まれる。部下と普段からよくコミュニケーションを取ってその人となりを知っておく必要がある。こうしたことを通じて真摯に応えていく中で、部下との信頼関係も築いていける。

そうやってお互いの理解が進み、組織を預かる人間としての幅が広がっていく。つまり部下を育てるということは、自分の成長にも繋がるのである。

部下の教育は、未来への投資だ。その投資はいずれ自分に還ってくる。部下とは「己の分身」なのだ。「あの部下は使えない」と言うことは、自分の無能さを自ら公言しているに等しい。

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