効率的で信頼性の高いアウトプットを生み出す組織の基本モデルは今でもやはり官僚制組織である

色々な組織設計上の工夫は、「官僚制を打破して、官僚制を代替するべく」行われるのではなく、むしろ「官僚制に付加する形」で追加的に行われる、ということである。

きちんとした官僚制組織を構築しているか否かが今でも企業経営の基本である。実際、スキャンダラスな話題になってしまった日本企業の事件は、その根本的なところで官僚制組織の基本ができていなかったことに本質的な原因があるように見受けられる。

乳製品による食中毒事件を2000年の6月に起こした雪印乳業の例をあげると、大阪工場ではマニュアル通りに洗浄作業が行われておらず、大樹工場ではマニュアルに記されていない異常事態(停電)が生じていたのに判断を仰がずにそのまま作業を進めてしまった。

マスコミは、主として問題発覚後の社内の混乱や処理のまずさなど、事件性の高い部分に着目して批判を展開したのだが、この事件の本質は官僚制組織の基本ができていないことにある。

・・・・組織の基本(沼上幹)

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