星野リゾートは最近はメジャーとなった総合リゾート会社だ。

「フラットな組織」と「マルチタスク」など働き方に特徴がある。

そのうちマルチタスクについて考えてみたい。

マルチタスクは様々な業務を1人の社員が兼務することを指す。

星野リゾート独特の仕組みだ。

国内の旅館、ホテルでなく海外のホテルでも、スタッフは一般にフロント、調理、飲食サービス、清掃などに分かれて働く。

しかし、それぞれの職場はピークの時間に差がある。

このため、勤務時間中にもかかわらず、仕事がない時間がある。旅館の息子として育った星野リゾート代表の星野氏はよく知っていた。

例えば料理の担当者は朝と夜は忙しいが、その間は特に仕事がないため、「中抜け」して外に出かけるのが当たり前になっていた。

すべての部門で1日の働き方にムラがある。このまま放置すれば宿泊業は他の産業にいつまでも勝てないと考えた。

マルチタスクによって仕事を兼務すると手持ち時間はなくなり、労働生産性はアップする。複数の業務をこなせる社員が増えれば同じ人員数でも職場への配置を厚くできる効果もある。

顧客を待たせることが減るため、満足度の向上につながる。

利点に気づいた星野氏はマルチタスクを全社的に採用。多能工化が進む製造業の働き方を参考にしようと、近くの向上に頼み、作業現場の見学にも出かけた。

マルチタスクを導入してみると、分業制に慣れた社員から反発する声がでた。

何とか実現しても、ひとつの業務に従事するほうが楽なため、いつの間にか元の分業に戻ってしまうのだ。

だがこれを我慢強く推し進め、マルチタスクは徐々に社内に浸透していったという。

これと並行して一定の技術が必要な業務では、作業内容を細かく分割してマニュアル化する工夫を積み重ねている。

経験したことのない業務のハードルを下げ、マルチタスクを定着させた。社内には「生産性最適化ユニット」と呼ばれ、スキルの高いベテラン専門部隊もいる。

施設ごとに建物が違うため、スタッフの働き方も微妙に異なる。そうした違いをマルチタスクで乗り越えるため、新規開業の旅館やホテルには生産性最適化ユニットから1、2名のメンバーを派遣。スキルの徹底を図っている。

ホテルや旅館業ならで起こりやすい、ムラがある働き方の違いに焦点を当て、改革していった星野氏の考えは正しいと思う。

翻って自身の職場でも同様の事が推し進められている。

だが実際は事業が縮小化していく中、人を減らす代わりに複数の機械製品を1人が担当できると共に受注前活動、受注後の設計、製造管理、検査、運転、その後のフォローなど全て1人ができるようにせざるを得なくなったことが実情だ。

上記に加えて開発業務も加わっている。当然、開発は遅れ気味になる。

自分自身、マルチタスクの弊害として専門性の欠如、技術力の低下等が考えられると感じている。

しかしそれを補う意味でマニュアル化は重要なのであろう。

ただ開発は難しい。事業部門と開発部門で完全に切り分けるべきなのかどうなのか。本来は分けるべきだがどうしても開発部門はたこつぼ化しやすい。

マルチタスクは色々な障壁を乗り越えて始めて効果が出ると思う。様々な職場で生じうる障壁が何かを考え抜き、乗り越える手立てを編み出し、チームでやり切る必要がある。

業務改善に近いが、普段から高い場所から自部門の業務を俯瞰する習慣を身に付けたい。