公益資本主義という考え方があるようだ。

今は日本では欧米の影響を受け、会社は株主のものという考え方が主流になっている。根底にあるのは欧米流というか英米流のコーポレートガバナンス(企業統治)の考え方だという。

そこでは会社を統治するのは株主である投資家ということになる。

資金の出し手である株主の重要性は否定しないが、企業統治に株主が関わるべきではないと思う。英米の考え方は働く人の犠牲の上に企業や株主が成り立っている。

米国の航空会社で、従業員を2万円解雇する一方で、経営陣は多額のボーナスをもらったケースがあったという。人員削減で固定費が下がった結果、株価が上がるなど企業価値が高まったと評価されて経営陣はボーナスをもらえた、という。違和感を感じないだろうか。

株主を最優先する現在の株主資本主義が世界にはびこれば、圧倒的大多数を占める中間層が影響を受け、貧困層に転落する。それは政治にもマイナスに働く。民主主義が機能する前提条件の1つは、厚い中間層があること。中間層が減れば民主主義は機能しなくなる。

英国では1980年代の金融ビックバンで製造業が姿を消し、それによって中産階級が没落し貧困層となり格差が拡大したという。広がる格差への不満も英国の欧州連合(EU)離脱を招いた遠因とされている。

公益資本主義はもともと誰が始めた考えかはわからないが、アライアンス・フォーラムの原さんが提唱されている。

公益資本主義は中間所得層を増やすためのもの。会社に利益をもたらしてくれるのは誰か。まず従業員、それからお客様、取引先でしょうか。社会も大事。だから利益が上がればこうした関係者に還元する。そして余ったものを株主に配当として渡す。この考えに基づくと、優先度が高いのは、株主を豊かにすることよりも従業員をお金持ちにすることになる。

この考え方は安倍政権の成長戦略とも合致する。企業業績が良く株価も上がっているのにGDPは増えないのか。中間層の給料が上がらず、個人消費が停滞しているからだ。だから従業員に払う給料を上げる。金利がいくら安くなったって、そもそも手持ちの金がないと使えない。返さなきゃいけないお金なら使わない。やはり給料が増えてこそ消費する。

株主を豊かにすることだけが目的では中長期的視点を持った経営などできない。ROE(自己資本利益率)の向上を目標にするのではなく、働く人たちをどれだけ幸せにできたかを指標にするような考え方に変えるべきだ。そうしたら企業は中長期に繁栄できる。

四半期決算は短期志向の投資家の投機的な動きを促進することになっている。投機的な金融はバブルを起こして崩壊させる。企業経営は長期視点の考え方に変えなければならない。

税制についても給料の所得税に比べ、キャピタルゲイン(有価証券などの資産売買で得られる差益)への課税が少ないケースも多い。汗水垂らして得た収入と比べると割合が低いのはおかしい。

以上が公益資本主義を少しかいつまんだ話だが、原さんの考えにはずいぶん、納得させられることが多い。

もっと学習しなければならないが、広い視野で俯瞰してものごとを見なければならないと強く感じる。