中国の4月4日は、「清明節」の祝日であったとのこと。日本のお盆に相当する日で、家族で祖先の墓にお参りし、掃除をするのが習わしのようだ。

清明節の前後に毎年、江蘇省南京を訪れて、南京事件の犠牲者を追悼する目的で植樹を続けている日本人たちがいる。この「南京献植訪中団」は1986年に始まり、今年で32年目を迎えたそうだ。

3月30日から南京と北京を訪れた今年の訪中団の団長を務めたのが、岡崎眞氏で、東洋エンジニアリングを経てソフトバンクに入社。同社常務やソフトバンクパブリッシング社長を務めた。岡崎氏は今回が初めてだったようだが、団長を務めたのは日中友好に人生を懸けた父の志を継ぎたいとの思いからとのこと。

岡崎氏の父、岡崎嘉平太氏(89年に死去)は日本銀行などを経て全日本空輸に移り、同社社長を務めた。加えて、日中覚書貿易事務所代表を務めるなど日中の国交正常化に尽力した人物として知られる。

2015年に3000人の訪中団が北京を訪れた際、習近平国家主席はあいさつに立ち、日中関係を築いてきた功労者の1人として嘉平太氏の名前を挙げた。

1972年に日中が国交を正常化した時、民間人だった嘉平太氏は記念式典に招かれなかった。それを知った当時の周恩来首相は嘉平太氏を個人的に中国に招き、国交正常化を祝う食事会を開いた。

その際、周首相は「『水を飲むときには井戸を掘った人のことを忘れない』という言葉が我が国にある。まもなく国交が正常化します。井戸を掘ったのはあなたです」と嘉平太氏をたたえた。

岡崎氏も父・嘉平太氏に同行していた。岡崎氏は、周氏の言葉とともに父が発した次の言葉を鮮明に記憶している。

「国と国の関係は悪くなることが必ずある。だからこそ民間の交流が大切だ」

「水を飲むときには井戸を掘った人のことを忘れない」という言葉は、ネットで調べると別の意味でまったく反対でよくない意味でも使われるような内容もあるが、この時、周恩来首相が嘉平太氏に伝えた気持ちは本心として感謝の気持ちだったと思う。

隣国と仲良く共存していくことは当然だと思う。日本と中国はお互いのプライドを保ちつつ、いい意味でライバルとしてこれからも共生していくことが大切なのではないかと思う。