1.音源対策の内容
音波は空気中の急激な圧力変化であるが、これは一つは物体の振動を介して間接的に起こり、一つは爆発のように直接的に起こる。発生源に何らかの処置をして、このような圧力変化を起こさないようにすることが音源対策である。
発生源に対する基本的な音波の低減手段は次のようになる。
物体の振動、例えば板の振動によって発生する音波に対しては、振動する板の面積を小さくし、また板に加わる加振力を小さくする。例えば板との衝突や摩擦を避け、板にほかから振動が伝わらないように振動絶縁し、また、板に制振処理をして振動エネルギを吸収する。さらには板の補剛(補助材を用いて構造物や部材の剛性を補強すること)を考える。物体の振動によって発生する機械や作業に伴う音波などは、このようにして低減することができる。
空気中の直接的圧力変化によって発生する音波に対しては、例えば流体の流路を急激に拡張したり、縮小したり、流れを乱したり、また流路に突起物を作ったりするようなことを避け、圧力の急変を避ける。また、共鳴による音波の増幅を避けるためには、例えば、音波の通路に空洞部や開口部を作らないようにし、共鳴振動体の固有振動数と入射音の周波数が一致しないようにする。
さらに指向性を利用するような場合には、振動板を大きくして向きを変える等を行う。結局、音源対策としては音波の原因となる振動を止め、また渦や乱れを起こさないようにすることが根本的なことであるが、さらに音源となる機械に防音カバーをしたり消音器を付けるなど、機械自体に何らかの対策を施して音波を下げる事も音源対策と考えることができる。
2.騒音の発生とその低減
(1)空気音と固体音