庭師の雅雪が主人公。くそがつくほど真面目な性格で職人として真摯に仕事に打ち込むのだが、問題を抱えていることがわかる。遼平という中学生の面倒を見ているのだが、家族ではない。家まで入って面倒を見るが一緒に食事はしない。遼平の祖母からは冷たくののしられる。

はじめ読んでいてもなぜ彼がここまで我慢に我慢を重ねて生きていかねばならないのかと思ってしまう。

ただ雅雪にはよき理解者がいる。細木老という隠居だ。ただこの老人の孫も問題児で遼平と仲が悪い。

遼平はその問題児と喧嘩してケガをして入院する。そうこうしているうちに遼平の祖母が亡くなる。

遼平には両親がいない。その理由は後に明らかにされる。雅雪には舞子という彼女がいたのだが受刑者。実はその受刑者である彼女が車で事故を起こし、遼平の両親を亡くしてしまったのだ。

舞子とその兄である郁也と雅雪の関係。そして雅雪と親方である祖父と亡くなっている父。

複雑な難しい過去を経て我慢強く義理を通してようやく最後に雅雪は舞子と会える時、幸せになれるのだろうか。

読んでいてミステリーなのかファンタジックな小説なのかと疑問に思いながら読んでいたのだが、こんな小説があるんだ、っという印象。愛と憎しみの連鎖の果てに、人間の再生を描く作。

とても面白い本だった。