どんな優れた上司でも、部下から愛情半分、愚痴半分の悪口を言われることはある。自分に対する部下の悪口が耳に入ってきたとしても、基本的には聞き流すに限る。かつて自分が部下だったときに上司に対してやっていたことを、今度は部下が自分に対してやっているだけのことである。

ただし「基本的には」と言ったのは、聞き流してはいけないときもあるからだ。部下の自分への悪口が耳に入ったとき、注意しなくてはならないことは、部下の奥底にある気持ちである。部下の悪口が愛情半分ではなく、本心から自分に対して不信感を抱いていると感じたら、なぜそうなったのかをよく考えてみる必要がある。

日頃の自分の言動が、部下の不信感を招いているのではないか。あるいは、部下を叱ったり注意したりしたときに、その真意が相手に伝わらずにすれ違いが生じているのかもしれない。

「悪口を言った」「言わない」という表層的な部分にこだわるのではなく、その根っこがどこにあるのかに注意を向けてみよう。部下が自分に不信感を抱いていることが悪口の要因だったら、すれ違いや誤解をできるだけ早く修復することである。

一番大切なのは、部下が自分に対して感じていることがある時に、「それはどういうことなのですか?」と、すぐに口に出せる関係を作っておくことである。そのためには、日ごろから2人で話す場面をつくり、部下の話に耳を傾けることだ。

「聞く」が8割、「話す」は2割。すぐに否定したり、意見したりしてはいけない。悪口の原因を聞きだすまでは、極力黙っていることだ。

部下も君に話している間に自分自身の思い込みに気付いたり、別段大したことではなかったと思い至ることもあるだろう。

お互いにすぐに話せる関係を作っておけば、不信感の芽をあらかじめ摘むことができるし、部下もことさら同僚たちに上司の悪口を言ったりしないものだ。

あとは酒の席でいくら部下が自分の悪口を言おうが、それほど気にする必要はない。部下にとって最高のストレス解消法を奪う野暮はしないことだ。