士族

明治維新後の旧武士階級に対する族称。明治新政府は,封建的諸制度の撤廃を目指したが,政治,行政上の人材源でもあり,また活動層でもあった旧武士階級の特権存置をはからざるをえず,明治2 (1869) 年6月,版籍奉還ののち旧公卿,大名を華族御目見 (おめみえ) 以上の幕臣や諸藩一門以下平士までを士族,同心以下足軽層を卒族 (→ ) と呼び,平民の上に位する身分を与えた。翌年、卒族中世襲であったものを士族とし,他を平民に編入して卒族を廃止した。しかし,廃藩置県 (1871) 、秩禄処分 (75) 、金禄公債条例発布 (76) などにより,士族はその経済的な特権を失うにいたり,その身分的特権にもかかわらず経済的没落をとげ,この過程で多数の士族暴動が起った。 1914年戸籍法改正により身分登記制も廃止され、第2次世界大戦後、日本国憲法発布に伴い、47年の戸籍法全面改正によって士族の名称は廃止された。

<例文>
福岡県久留米市の旧有馬藩の士族の家に生まれた私は、幼い頃から武士の子としての自覚と言動を求められました。・・・西郷南洲手抄言志録を読む(渡邉五郎三郎 著)

目次