組織を預かる上司には大切な使命が2つある。

その1つは、自分に与えられた業務目標を達成すること。もう1つは、自分の組織の中にいる部下を監督し成長させること。

前者は当たり前のことである。仕事で結果を出すことこそ会社員の使命であり、その人の評価につながるものだ。リーダーともなれば、いわずとも組織として成果を上げることに熱心に取り組むだろう。

それに対して、後者の意味を正しく理解し、自分の使命だと考えている人は意外に多くはない。だが、この「部下たちを適切に指導し、その成長に貢献すること」は、組織を率いる人間としての最重要課題なのである。

上司が重点的に気をかけなければいけないのは、少し遅れ気味の部下、外れ者の部下、苦労している部下である。そういう部下は、手間はかかるかもしれないが、少し手を差し伸べれば、2~3割は容易に伸びる。そうすることで組織を構成するメンバー全体の力を伸ばし、組織の底上げができる。結果として、与えられた業務目標を、組織として達成することができるのである。これぞ上司の本懐である。

組織の中で大きく伸びていく人材の多くは、新入社員時代にどんな部署の誰が上司であったということが大きく影響するといわれる。まだ仕事というものがよくわかっていないとき「会社というのは・・・・」「仕事とはこうするのだ」と的確に教えてもらえたかどうかが、その人の仕事人生を大きく左右するということだ。

「教えることに、もっと熱意を持ちたい。そして、教えられることに、もっと謙虚でありたい。教えずしては、なにものも生まれてこないのである。」

これは経営の神様、松下幸之助の言葉である。 ・・・・上司の心得 佐々木常夫