インフォームドコンセントとは、患者・家族が病状や治療について十分に理解し、また、医療職も患者・家族の意向や様々な状況や説明内容をどのように受け止めたか、どのような医療を選択するか、患者・家族、医療職、ソーシャルワーカーやケアマネジャーなど関係者と互いに情報共有し、皆で合意するプロセスである。
インフォームドコンセントは、ただ単に病状を告げ、同意書をとることではない。日常の場面においても、患者と医療職は十分に話し合って、どのようなケアを行うか決定する必要がある
インフォームドコンセントに係ることについて、医療の世界では医療法第1条の4第2項において「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」と示されている。
インフォームドコンセントにおいて、患者・家族が医療職から説明された内容を十分に理解できていない、医療職が患者・家族の権利を尊重できていないことなどで、十分な合意形成ができないまま、医療が提供されることがある。そのようなとき、患者・家族が、病状説明の内容が腑に落ちない、医療職に対して不信感を抱くなどの問題が生じることがある。
インフォームドコンセントは、患者の知る権利、自己決定権、自律の原則を尊重する行為であることを根底にし、患者・家族と医療職が互いに信頼に満ちたものになっているよう努めなくてはならない。患者の尊厳を守り、患者・家族の権利を配慮したインフォームドコンセントになっているか、という視点で考える。患者・家族の関心事(気がかり)を重視し、患者・家族と医療職が互いを表現し合う場になっているか、病状説明の場においては特に、選択する医療行為の利害と患者・家族の生活、人生への影響を考えられるようなプロセスになるようにする。
インフォームドコンセントにおいて必要とされる看護職の役割は、患者が十分に理解した上で医療を選択し決定できるような十分な情報を丁寧に伝えることと同時に、患者・家族の権利を尊重するために積極的に働きかけるアドボカシーである。患者又は利用者等が聞きたいと思っている情報を十分に聞くことができ、患者と医療職双方が納得した意思決定になるようにすることが看護職の役割である。
インフォームドコンセントは医療だけでなく工学に携わる技術者にも置き換えて考えるべき重要な考えである。